第2章 [別れ、そして出会いと再会]
次の日。
「では今から対人格闘をやって貰う!」
シャーディス教官の声が訓練所中に響く。
____昨日はミカサから色々な話を聞いた。
エレンとの出会い。
アルミンとの出会い。
エレンの話。
殆どエレンの話だった。
ミカサはエレンが好きみたい。家族とか、友達としてじゃなくて、
恋のほう。
ミカサってわかりやすいなぁ。
「...シーラ?大丈夫?」
つい考えこんでしまった。
「大丈夫。ミカサ...怪我させたらごめんね。」
そんなことはない、と信じたいが。
「それでは、訓練を開始する!」
教官が叫んだ。
「私がならず者をする。ミカサは私から短刀を奪って。」
その方が傷つけないで済むだろう。
「わかった。」
私が短刀を持っている腕に力を込める。
「じゃ、行くよ!」
ミカサに腹部に向かって突進する。
ミカサは私をスルリと抜けて、短刀を奪おうとする。
私は姿勢を素早く直し、ミカサに向かって短刀を振り回す。
ミカサはそれを避け、私の短刀を持っている腕を掴んだ。
____...まずい。
本能的に察知した私はミカサに掴まれた腕に力を込め、下に思いっきり振り下げた。
ミカサは地面に叩き付けられると思いきや、確かに腕から手を放したが宙返りをし、私に向かって来た。
私はミカサの足を蹴った。
否、蹴ったはずだった。
ミカサは地面を蹴り、宙に浮かんだ。ぎりぎり避けたらしい。そして私に襲い掛かってきた。
私はミカサの落下地点であろう所から素早く離れた。そしてミカサの背後に立ち、短刀を向ける。
ミカサは察知したのか素早く振り返り、私の両腕を掴んだ。
クソ。両腕に力を込める。すると、
「まってシーラ...」
何故かミカサがストップをかけてきた。
「ミカサ、これが本番だったら刺されるよ?」
「場所を変えよう。」
私の言葉を遮り変な提案をした。私が困惑していると、
「周りを見て。」
ミカサに促され周りを見てみると、たくさんの人達が私達を見ていた。
「おい見ろよ!あいつ、あのミカサと互角に戦ってるぞ!」
「すげぇな、あいつ何て名前なんだ?」
汗が湧いてきた。気持ち悪い。
「...シーラ、顔色が悪い。医務室行く?」
ミカサが心配してくれた。
「...だ、大丈夫...多分。」