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【おそ松さん】あの子可愛や看板娘

第2章 初出勤


夕暮れに包まれた河川敷を辿っていくと、

約束していた場所に、その屋台はあった。「ハイブリットおでん」

今日から私の職場だ。

「おーい、早いな!初出勤、おつかれ!」

ニシシ、と手を振られる。



「基本は、店に立ってくれてるだけでいいぜ。大した客もこねぇしな!

あ、でもしばらくしたら仕込みも覚えてもらいてぇな!」

「は、はい!精一杯がんばります!」

「はは、いいんだよ!気ぃ抜いてな!」

そういって雇い主であるチビ太さんは、手際よく具材を仕込んでいく。

その神がかった動きからは、おでんへの無常の愛を感じられる。

これが、あの絶品おでんを生み出す技なのか……。

などと感心していると、

「やばい!あいつが来たぞ!」とチビ太さんがおののいていた。

みると、仕込みは既に完了していたようだ。出汁のいい香りがあたりに立ち込める。

いつの間に……。

「あ、あいつって……?」

「あいつだ、あいつ。松野家の長男、赤いパーカーのあの悪魔!

よりによって初日にあいつに当たるとは……何事もねぇといいんだが……。」

あのチビ太さんが尋常じゃなく焦ってるなんて……。

チビ太さんが指差す方向をみると、そこには誰もいなかった。

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