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【おそ松さん】あの子可愛や看板娘

第1章 プロローグ


最悪だ。
「うっ、うっ……」

泣きながら街を歩き回っていた。

人の目が刺さっている感覚なんか気にもならなかった。

ただ、ただ、悲しくて。ただ、ただ、虚しくて。

2年も付き合った彼氏に振られた。

貢ぎまくった挙句、浮気されて振られるなんて……。

どのくらい時間が過ぎただろうか。

気がついたらあたりは薄暗くなっていた。

落ち着いてきたところで肌寒くなってきたようだ。

ふと、薄暗いなかでボンヤリと屋台のようなものが見えた。

「ハイブリットおでん……?」

「お!ねーちゃん、よかったら食べていくかい?」

後ろから声をかけてきたのは、どうやら店主のようだった。

「って、ねーちゃんなんだよ、泣いてたのか?!」

ああ、そうだった。と思いだす。鏡を見てこそいないが、

きっと人には見せられないような顔に違いない。

「ほらほら、もう少しで仕上がるからちょっと待ってくんな!」

女の涙には慣れてないと見え、あわてた店主に強引に座らせられてしまった。



「どーでぃ!?うまいだろう?」

ニシシ、と店主が自信満々なのもうなずけるほど、とても美味しかった。

「美味しい、です……。」

「そーかぃそーかぃ!ま、うちのおでんは日本一だからな!

こんな美味しいおでん食べたら涙なんて吹っ飛んじまうだろう?!」

「……ですね!」

あんなことがあったばかり。店主の優しい心遣いが、純粋に身にしみた。

「……あのさー、何があったか、話したくなきゃー聞き出さねぇけどよ……その……どうして泣いてたんだ?」

ポツリポツリ、と私は話しだした。

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