第3章 六つ子との遭遇
「戸惑わなくて……いいんだぜ?子猫ちゃん。welcome to カラ松world……」
「はいいいからチビ太ー俺大根ねー」
「えっ……」
「あいよー。」
チビ太さんから呆れたような顔で大根を手渡される。この痛さには慣れっこなようだ。
「はい、どうぞ。」
「うわはーっ!おそ松兄さんいいなーっ!」
十四松さんがキラキラした瞳で大根を見つめる。
「いーだろー!すみれちゃんの手渡し大根!」
「作ったの俺だけどな!」
「そういうのはいーの!すみれちゃんが手渡したっていう付加価値がどんっだけ尊いことか!」
「俺も欲しい……」
「おっ、しょうがねーなー、一松。すみれちゃーん!こいつにも大根一つ!」
「あざーっす、おそ松兄さん。」
「は、はーい!どうぞー。」
「え?!ちょっとなにキャバクラみたいになってるわけ?!」
「シコ松は自家発電でもしてたらー?」
「あ゛あ゛??」
チョロ松さんが、私からは見えないがおそ松さんに凄んでいるようだ。
「もー!兄さん達ってばー!……ごめんね?すみれちゃん。兄さん達うるさくって!」
「いえ、とても楽しいですよ。」
本当に、見ているだけで微笑ましくて、つい笑みがこぼれてしまうほどなのだ。
もしかして、私があの日から迷い込んだのは、不思議の国ではなく、夢の国だったのかもしれない。
心地よくて、ずっとずっと見ていたくなるような夢。
いつかは覚めるのだと分かっていても、
今はただ、この時間がずっとづづきますように、と私は見上げた夜空に願った。
「なにしてんのー?すみれちゃーん。」
「あっ!流れ星!」
「えっ?!どこどこ?!」
「うぇへへへ~すみれちゃ~ん♪」
「ちょっと!おそ松兄さん酔っ払ってるでしょ?!」