第5章 犬愛 <セカンドバージン 子犬系男子>
「あちゃーン、どうしよン?♪」
夜、所々欠けている歪な月が彼を照らす中
彼はドアを開けっ放しにして客の部屋にズカズカ入っ
ていった。
「そンなこと言ってる場合じゃないン、 何か服着せ
なきゃ色々とマズイしン♪♪」
彼は手品師のようにバサッとバスローブを手にした。
「コレでいっかン♪♪」
眠る男女約2名に手際良く、スル···とバスローブを着させた。
逆光から見える顔は、相変わらず何が可笑しいのか
笑っているが、急いでいる様だった。
その頃、ホテルの入り口でコツ、コツ、コツと静かに靴音を鳴らした全身黒い服を着た厳つい男達が 彼の所へと向かおうとしてた時、
「あ~良かったン、間に合ったン♪♪」
彼はガシャ、と男女の2名の足首とベッドを 鎖で繋がらせた。
「もしもしン♪ ああン、成功したよン!♪ 早く殺そン♪♪」
「本当か? まぁ、長年信頼してるからな。少し待て」
プツ、と電話が切れた音がした。
彼は、まじまじと「愛すべきン方ン♪♪」と書かれた通話終了の画面を見ていた。
その途端、ギィィ····とドアの開く不気味な音が鳴り、彼はそちらを振り向いた ーーーーーーー