第5章 犬愛 <セカンドバージン 子犬系男子>
野獣は、ピクッと指を動かすことしか出来なくなった。
「次瑠々に手ェ出したら、てめぇを消す」
「!!!!!」 ドキンッッ··
初めて名前で呼ばれた。
犬は、フッ·····とこっちを振り返った。
「西川さん、だ大丈夫ですかッ···!?い、今から鎖こわし
ますッ····!」
「エ?」
私が驚くのも無理が無い、小村は普段通り、子犬の様
に顔を赤らめていっぱいいっぱいだった。
「ヌーンンン???」 アゴの下に手を添えていたら、
「き、気を付けて下さいッ··!! 行きますッ···!」
「は、はいぃッッ!???」
思わず敬語になってしまった。
「ッんんッ···!」 バキョ!!!!
鎖が粉々になった。
「ぅエエエエエエエエエ!????????!!!!!!」
目がギョロンッッ!!
「あ、あれぇッ···! い、一発で···!?」
とまどって自分の腕を動かしてキョロキョロとさせている子犬に、私は心底ポカーーーーンとした。。
小村って·····························こんな獣的怪力だっけ!?!?!
いや、イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤ、否ッッッ!!!!
だって会社でも椅子運ぶだけで毎日転んでるようなヘボ子犬、
そんな訳無いいいいいいい!!!
無くなったこの元部屋の壁は壊れるわ厳つい男気絶させるわで私の頭は混乱していた。
「ど、どうしてこんな力ッ·····! ················あ。」
小村のパタパタとした動きが止まった。