第5章 犬愛 <セカンドバージン 子犬系男子>
「···ぁ?」ドオオオオオオオオオオンンンンッッッッッッッ!!!!!!!
「ぅがあああああああああっ!!!」
「うぇっ!?!?!!」
「ナニナニナニ!??」 けたたましい男の声が聞こ
えて私は目を開けた。そこには、男の姿も部屋の
ドア、壁も見当たらなかった!!
「えええええええええええ????!!!! は? はいぃぃ!???」
見えてくるのは煙だけ。
「小村っ!!」 私はふと隣を見た。
そこにいたのは、ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そいつは、足首に付いた鎖のサビを振り落とし、
じっくり前を見据えていた。 瞳孔があり得ない
ほどグィィと開きながらも顔は無表情に近い冷静そ
のものだった。
ポカンとして体が動かなかった。奴は首をボキィ、と鳴らした。
「うっぐぅ···!!ッこんの···クソガキがァァァァァァァァ!!!!」
男が野獣そのもので襲いかかろうとしても、私はそちらを
見ようとも思わなかった。
私はずっと鎖をブチ壊したマグマをも凍らせる視線を見ていた。
「ぅオオアアアアア」
「片手に銃······上等···」 犬に、野獣のパンチが放たれた。
パンッッッッッ ズザザ·····
「西川さんをいたぶるんだろ·······やってみろ·············」
「っなあぁッッッ!!!?」
犬は、野獣の拳を左手の掌で返した。無表情で。
それだけで、野獣は5m位押し返された。
「そんなクソみたいな事したら、この世に肉片ひとかけらも残さない···········」
瞳孔はさっきよりも明らかに開き、そう囁いた。「っだこの」
ど
「え··········」
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!
鎖に亀裂が入る。
犬の静かで、野獣をも気絶させる蹴りの脅威力。
ガガガがッッ、と視界が揺れる。