第5章 犬愛 <セカンドバージン 子犬系男子>
その男は、効率が悪い。
「す、スミマセンッ···! 書類を一枚一枚整理してい
たら、書類が崩れて···!!」
その男は、力が弱い。
「す、スミマセンッ···! ちょ、ちょっとそこを避け
··っああッ!!ドササッッッ!!) スミマセン、スミ
マセン、スミマセンッ」
その男は、背が低い。
「す、スミマセンッ、あそこの資料 取って頂けま
さんかッ···!?」
その男は、いつも弱気だ。
「ふ、不良品ッッ?? すっスミマセン、ぼ僕が全額
返済しますッッ···! グスッ··」
「ぅおおおおおおおおおおおいいいいッッ
ッッッ!!!」
ドンッッッッ!!!
シーン。
たまらなくなって、叫んでデスクをぶっ叩いてしまった。
「何でアンタが全額返済しなければならないのよッ
ッ!! 逆に迷惑よ、ホンットバカ!」
周囲の視線を気にせずそのまま続けた。
「西川さん···」
「止めないで下さいッ!」
「す、スミマセンッ西川さん···ッ!!」
「スミマセンスミマセンうるせぇーーーーー!!」
私が今この男にイラついてるのはワケがある。
昨日ーー···
「なんだろ··· 急に社長室呼ばれるなんて私、なんかやらかした?」
サァー・・と顔を青ざめて、社長室のドアノブに
私は手を掛けた。