第2章 同愛 <学生 百合 純愛 少し·····>連載中
「えっ」
と、螺園ちゃんも私も同じ反応をした。同時にお互いを一気に振り返った。私はさっと下に目を逸らす。なぜなら、彼女の『えっ』の方が、期待の色が見え隠れしていたから。
「................」
「ホラ何男の子泊まるってんじゃないんだからさ〜螺園ちゃんも甘えなさい!ねっ!」
と、気づくと、家の床いっぱいに汚れてもいい布が敷かれていた。ものの数秒でこれを成し遂げてしまう母は、流石に主婦をやっていないという訳だ。
というか男の子じゃないだからって、今の時代、ジェンダー的な事を全く意識してないし.....と母を睨むような気持ちになってしまった。
だが、自分こそ自分の同性愛的な部分、完全に肯定出来てるかと言われればそうは言えないので、お互い様だった。
「あっ..でも..」
だん、だんさ..と、消えいる声で、玄関の段差の事を母に指摘した。が。
「螺園ちゃんじっとしててね〜」
と、お母さんがいきなり螺園ちゃんに覆い被さってーーー
「なっ..何してるのっ...!!」
と、母の袖を掴み大声を発してしまった直後に後悔した。ハッ!として、瞳孔が開いた瞳を瞬きさせ保護する。その間に、ひどく驚いた様子の彼女ーーー螺園ちゃんからも目を逸らす。
「えっ?」
と、母は気の抜けた顔で、両手で車椅子ごと螺園ちゃんを持ち上げていた。
「あっ...」
みるみるうちに顔が真っ赤になっていくのを感じたが、母はそのままコメディ劇のように、螺園ちゃんが座ってる車椅子を家の廊下に置いた。置いた時、「POM!」という効果音が透けて見える程母は身軽であった。
「さてさて、部屋に2人で行ってなさい!」
と、やはりまた怒っているのか怒っていないのか分からない声で、母は私の方に螺園ちゃんの乗った車椅子を向けた。私はそこから逃げ出すように、
「ちょ、ちょっと待って..!夕食はっ..」
「後でそっち持ってくから!早く!」
ど、どうして早くしなくてはいけないのか、と思ったが、お客さまの螺園ちゃんへの配慮だろう。こう、切羽詰まった状況だと、誰もが敵に見えてしまうものだ。
やや反省しながら、私は螺園ちゃんの方を向く。螺園ちゃんは、いつものように少し不機嫌そう?な顔と、申し訳なさそうな顔をしていた。
「じゃあーーー「あ、ちなみに2階まで螺園ちゃん運びなさいね!」
「えっ」