• テキストサイズ

ホテルの事情[R18]

第2章 同愛    <学生 百合 純愛  少し·····>連載中




「..」

ーーいや、そんな事あるわけない。執事が、..私が本気でここを抜け出そうとしてる事を知っているなんて。

「....家族と何かなんて比べられないわ」

私は車椅子の上で呟いた。

「でも、それを捨てなきゃいけないくらい、大事なものができただけよ」

私は、はっきりと伝えた。

それは勿論、瑠々ーーーー..。

瑠々の満面の笑顔が、脳裏に浮かんできた。

「ーーーー。」

「..私は結局ワガママ娘なのよ」

割と思ってもない事を執事に言ってみた。でも、そう言わなきゃ許されない気がしたから。

「お嬢様、お嬢様は比べられないと仰っていますが、結局お餅の方が大事なのですよ。」

「まぁ..そういう事かもね..ってコレ、絶対お父様には言わないでね」

「畏まりました。しかし、主人様であるお父様に聞かれたらお答えしますが」

「意味ないじゃない」

はぁ..とため息をついた。..執事は、仕事をこなすだけの人生、本当に楽しいのかしら。

「では、お嬢様。」

え、と息をのむ間もなく、ドアが開かれた。ーーーそこには、我が屋敷の、よく手入れが行き渡った豊かな緑の庭。

「...どういう事?「外出なさりたいのでしょう?」

執事はずっと無表情。

「...そう」

私は、ニヤリと笑ってしまった。..この執事は、稀に、こういう間違いを犯す。本気の、天然が入ってしまう。

それくらい長い付き合いだから、分かる。

あーーー

「いや、でも、お父様に報告しなくてはっ..」

「お嬢様、"ただ"外出されるだけなのに、なぜお父様に報告がいるのです?」

私の意図を全て読んでいるような問いをする執事を、私は振り返った。

「でっ..でも!言わなきゃいけない事が「いいえ行ってください、ただの外出だというのなら、そうしなさい」

「!」

執事の表情は、いつもと変わらず真剣そのものだった。「いやでもッ...「いいから行きなさい。」

「....。

分かったわ...」

私は颯爽と駆け出した。車椅子で。





「..お嬢様は、私の理解者ではない。本当に、酷い、お方だ...。」

"防犯"カメラの映像に、細工をしかけておかなければ。

「 叶わぬ恋は、私とあなたの婚約者様だけでいいでしょう..? 」

胸ポケットの中に仕舞った螺園の写真を、ギュッと握りしめた。

/ 179ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp