第10章 玩愛 〈 マチアプ お兄さん 大人のオモチャ 〉
「だから、マジ私キツマ..」
と笑って誤魔化そうとしたその時、お兄さんから抱きすくめられてしまった。
「...!」
びくっと、肩を震わせる。
「それでいいんですよ瑠々さん...僕、ずっと待ちますから...」
胸の奥が、じんわりと暖かくなっていった。
「瑠々さん、僕の事は玩具として扱ってください」
「えっ...?」
私を抱きしめてくれる、お兄さんの腕が強くなった。
「僕を喋るディルドだと思って下されば良いのです..」
あまりにも衝撃的な発言に、私はまた驚く。
「なっ..!そんな事思えるワケないですよ..!お兄さん自分を卑下しないで下さ..」
「玩具は意志を持ちませんから...貴女の嫌がるような事は自らしません..どうか..」
もっと、強く抱き寄せられてしまった。
「僕に飽きないで..っ」
焦れたような瞳で、見つめられた。胸がまたドキドキしてくる。
「な、な...っ!飽きませんよ、ぉ..お兄さん変態だけど、人間としてはその..結構好きですからぁ」
弱々しい彼の背中を、つい撫でてしまう。そしたら体を離され、無邪気な笑顔を見せられた。
「良かったぁ..、じゃあまた玩具持ってきますね...いっぱい...」
ーーー私たち、セフ..、レ関係になったって事だよね..?
目をパチパチ、と瞬かせ、私はホテルの共用スペースに腰掛けていた。
今、お兄さんはカウンターで精算中だった。私も払うと言ったんだけど...
『じゃあ次お会いした時、瑠々さんの奢りで...ね?』
と、約束を取り付けられてしまった...。
ーーーえっち前、結構独占欲見せてきたから...お兄さん結構私の事好きだと思うけど..
カウンターにいるお兄さんと、目が合った。微笑まれる。つられて微笑み、熱いコーヒーを呑んだ。
「お客様、レシートの方はーー..」
40代くらいの男性店員さんの手が、一瞬止まった。
ーー..?
「あ、えーと..ああ..レシートの方は必要だったでしょうか?」
ーーーどうしたんだろ..?動きがぎこちないような...?
「店長..」
金髪の男性店員さんが、隣で一瞬呟きかけていた。40代くらいの男性店員さんーー店長さん?、に。
ーーーまぁいいかぁ..
ズズ..と、それに構わず、熱いコーヒーをまた呑んだ。