第9章 愛初〈 BL 初恋 未練 etc...?〉
『お前、同性同士のカップル様の時、特に世話焼いてるイメージあるよな』
これも2度目の[同愛]の時に、店長とカウンター人が交わした会話だった。
『さぁねン♪』
『お前、ーーーー何隠してるんだよ。』
『...』
__________同性である俺の事を..あいつは...
だから他人事と思えなくて、同性カップル様の世話を焼いて...
ぶり返したのは、常に閉じた瞳で笑う、張り付けたような笑顔の彼。
あの時も
あの時も
あいつはずっとどんな想いで_____
「ーーー...」
ザワザワザワ...と店長の耳に、ロビーの喧騒の音が戻ってきた。
店長の顔の前で、晶は手をひらひらさせていた。「おーい?」と。
「...いや...まさかな」
店長は、モップを握る手を緩めた。知らぬ間に強く握りしめていたらしい。
奥から、トイレから戻ってきたらしき光の姿が見えた。
「まぁ俺の勘違___」
「?気になるなら、踏み込んじゃったらどうですか?でも店長さんは優しいからそんな事しないかぁーじゃ、また!」
パタパタと、晶は愛する光の元へ駆け寄っていく。
「あ!いたあ!店長ヘルプぅ!ヘルプです!!」
バイトらしき青年達が、店長に向かって叫んでいた。
「..お、どうした?」
彼らの方に、小走りで店長は向かっていく。
何も変わらぬホテルの日常へ、店長は戻っていったのだ。
が、
キィィ...
晶と店長が喋っていた共用スペースの近くーーその物置部屋のドアが、僅かに開いたのだ。
ドアの隙間から、ひっそりと影が覗く。
「____..」
ーードンッ!
「ワッいたぁ!」
ホテルのバイトが、ぶつかってきたらしかった。
パチン、とバイトは部屋の電気をつける。
その瞬間、影は物置部屋の奥へ逃げた。
「ちょっとーなんでこんなとこで突っ立ってるんですかーっ..て、アレ?」
そのバイトが、辺りを見渡す。
「いない...?」
ネオン色の夜街は今日も賑わっている。
時々ギャーッ!という謎の悲鳴と共に、笑い声も起きた。
ーーザッザッザッ..
息を切らした彼は、人混みの中を通り抜けていく。
「..ねぇ、今の人見た?」
「見た見た!ピンク頭で、前髪の真ん中くるくるした人でしょ?めっちゃ体調悪そうだったー、なんか、顔がーー」