第7章 同愛 2 <学生 やおい 純愛 短編>
「お前、同性同士のカップル様の時、特に世話焼いてるイメージあるよな」
ホテルのカウンター人は微動だにしなかった。ずっと目を閉じているように見える笑顔も変わらない。
「さぁねン♪」
くるりと、回る椅子で店長を振り返る。
「お前、ーーーー何隠してるんだよ。」
「...」
カウンター人の表情は、変わらない。ーーーかと思った。一瞬、その閉じた目が開かれたーーーー
「いたンッ...!」
と、店長がそう見えたのも束の間、ホテルのカウンター人は目を押さえた。
「おいっ!大丈夫かよ..!?」
つい、条件反射で、"くそ新人野郎"相手にも心配してしまう店長。「別に、これくらい大丈夫だよンッ♪」
「そうなのか..?」
と、少し狼狽える店長に、ホテルのカウンター人は食い下がる。
「ちょっと目にゴミがン..ってやつン♪♪」
ニハハハンーッ♪と笑うホテルのカウンター人を、店長はしばし睨みつけた。
「..来い!」
パシッと、ホテルのカウンター人の手首を店長は掴む。「..ッ!」
そしてそのまま、店長はズカズカとスタッフルームへと足を運んだ。
「てんちょンッ...?!」
さらっ..。
ホテルのカウンター人の、クルクルとしたエクステが、眉間の間で揺れた。
「てんっ...」
やや強引に手を引かれるまま、ホテルのカウンター人は、...やがてうつむいた。
「てんちょン..強引にひらかないでンッ」
スタッフルーム内には、仕事着から普段着に着替える男性店員が数人いた。
「あ?さっきすげー痛そうだったじゃねぇか、さっさと見せろ」
と、簡単な黒椅子にカウンター人を座らせ、店長は夢中になって様子を見る。
そのがさつな優しさを、優しさとは全く思わずにまっすぐ自分と向き合ってしまう店長の性格に、カウンター人は動揺していた。
「ッ..ごめン、てんちょン、目開いたら..」
店長は、きょとんとして手をとりあえず止めた。
「余計、痛いからン..」
「.....................」
店長は、いつもだったら無理やりこじ開けるところだったが、そんなカウンター人の言葉を嘘だとは思えなかった。だから、言う通り、手を止めた。
「....お前さ、」
「はいン.....」
「....」
ふいに、クシャクシャッと、店長は、カウンター人の頭を撫でた。