第7章 同愛 2 <学生 やおい 純愛 短編>
「てんちょンッ...ッ」
「お前ぇの場合、あんまり1人で抱え込むなよって言っても無駄だろうが、」
フー、と息をつく店長。それに対し、その言葉を店長が言う時点で全く無駄ではない、とカウンター人は、思っていた。
「あんまり無駄に考えすぎるなよ....バぁカ。」
そうして冗談っぽく言ったいたずらを聞き、カウンター人は、店長が触れた前髪に手を置いた。
「......てんちょンってさ、」
「なんだ?今度は頭いてえのか?氷ーーー」
と、みんなに呼びかけ始める店長のスーツを、カウンター人はビッて引っ張った、
「いつもはめっちゃガサツなのにン、1番人がきずつきそうな事には、本当に一切、踏み入らないよねン〜何かを察そうとしていてさン!」
「あ?なんだぁ、服伸びるから掴むなくそ新人野郎。」
いやいやン、お客様ンの前でもコマゴマモードかン♪とカウンター人が人差し指を立てたらスコン、と頭に缶詰の缶を投げられた。なぜか店長の逆鱗に触れたらしい。
「じゃあな。」
「あ、ちょンッ..」
と、引き止める声をもかき消され、店長ー!と金髪のアルバイトらしき男に、店長は呼び止められていた。
「大変ッスー!!新人の子が、お客様の部屋にローション大量にぶちまけたって..!」
「何ッ..!?」
また、騒がしくなり始めたスタッフルーム内で、ぽつんと1人、カウンター人は背もたれのない黒い椅子に座っていた。
「.............................」
カウンター人は、自分の胸を押さえた。
周りの音声が、何を言っているかは明確に聞き取れなくなる、それでも騒がしかった。
「...............」
ねぇ、店長ン。
この世界の誰もが、隠し事をしている。..もしかしたらだけど、自分のそれは、誰よりもしょうもない事かもしれない。カウンター人は、ふと、そう思ってしまうことがある。
...この気持ちは、いつからだっただろうか。
いつもトラブルがあったらみんなにヘルプを求められる、そんな店長の黒い大きな背中を、ずっとカウンター人は見守りながら、カウンター人は思っていた。
ねぇン、店長ーーーーーーー?
第7章 同愛2 〈学生 やおい 純愛 短編〉
エピローグ.〜fin〜