第7章 同愛 2 <学生 やおい 純愛 短編>
「なぁなぁイこうぜッッ!!」
「..どえ?」
ある日、拍子抜けした声を出してしまった俺の目の前に現れたのはーーたったこの前、画面の中にいた男たち。(by3次元立体物。)
ちょうど掃除の時間で、瑞木と雑談してたところだった。気まずくはあったけど、俺たちの仲だとそれで話さなくなったりする事はないのである。
「この前のラブホよぉ、俺たちも実際イってみてえなぁ〜って!!」
まぁたピンクのニヒヒのような、下劣さ丸出しの状態の男たち。
「.............この前すっかり飽きてたじゃねぇか」
と、もうあそこのホテルに行くのは良いだろ、と何となく言えなかったのは真横に瑞木がいたから。瑞木の表情は見えないけれど、それを言ってしまうと、更にあの事が気まずくなるような気がしたからだ。
「いや〜〜〜、ネ???俺らは今度はちゃあんと遊び道具、持ってくからよお!!この後イこうぜ!!!」
嫌な予感がした。その動く手は、ムチをまとめてる手を表現しているように見えてーーーー嫌、と拒否する前に、フゥ〜ッ!!!と既に盛り上がり、もみくちゃし始めた瑞木の友達たち。「ちょっ..」
「うるせぇよてめえらッッッ!!!」
瑞木の怒声にビク、と一瞬全員肩が止まる。だけど、流石というか何というか、あの瑞木の友達たちのお祭り騒ぎはまた止まらないようで..。
「まぁまぁいいじゃなあ〜い瑞木ちゅわんわん!」「イこうぜ〜楽しいよきっと!!」「あ、ちょっ..」
「......」
猿のように騒ぐ男たちの中にもまれ、俺と瑞木2人だけは冷静だった。いや、..静かになっていた。
で、結局。
「おおおー!!!」
画面の中とはいえ、一度見たラブホの景色に2度も騒ぎを起こす男ども。
「おいうっせぇってお前ら..。」
と、最早何も聞いてない男子高校生たちに注意するフリをして、俺は瑞木を見た。瑞木は明らかに不機嫌そうで、周りの奴らは気づいてるのか気づいてないのか普段と変わらない。
そういえば、あの瑞木が不機嫌そうにしているのは結構意外と珍しい事なのだ。しかしラブホについてから、瑞木は俺と極力喋らないようにしてるし、俺もなんとなくそれを察して瑞木の友達たちに話しかけているといった状態。
ぺちゃくちゃぺちゃくちゃとお喋りに花を咲かせている瑞木たちの友達についてゆき、スンナリラブホ店内へ。