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ホテルの事情[R18]

第7章 同愛 2     <学生 やおい 純愛 短編>





「...」

瑞木。瑞木瑞木。

「あ...」

その時、瑞木は何か言っていただろうか、分からない、頭がボーッとする。見開き剥いた目が閉じれない。

"瑞木.......。"

何度もそこにいる相手の名前を繰り返した。多分、ーー脳内で。

小学生の頃から、たくさんの木々がある校庭でおっきな笑顔を向けてくれた、小学生の時の瑞木。走馬灯のように、瑞木の幼き姿と共に思い出が流れた。

瑞木の姿が大きくなって今の高校生の姿になった刹那、瞬き2回している間に完全に我に帰った。

「あ..ーーー」

トイレのたった狭い個室周辺に起きた出来事で、俺はその時何かを悟ったのだろう。

瑞木のその顔。なんとも言えないその顔は、言葉にすれば真剣な眼差し、といったところだろうか。

悟った事は、俺にとって世界がひっくり返る程脅威の事だった。でもその後一瞬で、でもそういうこともある、とほぼ無表情のまま冷静に平常心を保つことにした。俺は、悟ったものに確信というものを覚えた。

そうじゃないと、何か、うまく言えないけど、世界の深淵に落っこちてしまいそうだった。俺は、こういう時冷静でいられるという自信があったけど、いざ起こった時には、すごく心が動揺してしまう。それでも、俺は静かに、自分にも気付かれないくらい小さく、悟った。

だけど、瑞木は、そうじゃなかったらしい。

瑞木に覆い被されるーーと一瞬恐怖したが、瑞木はそのむしろ逆の行動をした。つまり、静止。

「みず..」

瑞木の名前を出そうとするまで、時間はどれくらいあっただろうか。
その後、ハッとしてトイレに行こうと動きだす瑞木を横目に見て、そんなに時間は無かっただろう、と俺は瞬時に推測した。

「あ..」

瑞木がトイレする、と俺は無言でトイレから普通に席を外せるという権利を得て、俺はそれに従った。瑞木はうつむいていた。トイレだとうつむいていても何ら問題はない。

けどーーーー俺たちの間に、何か気まずいものが流れたのは、明らかだった、

瑞木は多分、..俺が瑞木の生脚の画像を見ながら...していた事を、知ったのだろう。

俺が気まずいのを作り出したように思えるが、どうもそうではない。瑞木の方が気まずそうだった。




俺らはその後、どちらかともなく帰っていった。2人とも、無表情な顔つきで別れた。


ーーはず、だった。
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