第263章 ---.首から落ちた花
「ああああああうあぐぅ!???」
みきみきと 酷い音を立てながら姫乃の首が締まっていく。
(何………こいつ………っ!死んだんじゃ………)
臨のその どこをみているのかわからない虚ろな目に 姫乃は小さく悲鳴をあげる。
「な……………」
「ううううううううううう」
うめき声ともとれるその声に 姫乃は目を見開くと、その胸部に胸を押し当て、ギリギリの声で叫んだ。
「はど……の さんじゅ…いち…………しゃっか、ほっ!!」
臨の胸に 巨大な穴が開く。
しかし 彼女はそれにより姫乃の首を離すものの、その距離をただ保つだけで直ぐに体制を整えた。
「何………何なのよあんたは!!」
「うるるるるるあああああ!!!!!!」
咆哮が響き渡る。
その姿に 姫乃は戦慄した。
「ば……化け物っ!!」
その瞬間 臨は獣のように四足歩行で少女に飛びかかった。
「ひっ」
「おあああああああああああ!!!!!!」
体を腕で守ろうとするものの、その腕に臨が噛み付く。
「いっ!?」
激痛に顔を歪めると、臨のようなものは姫乃の上へとのしかかり、その腕の皮を引きちぎった。
鮮血が迸り、白い骨が覗く。
「いや………いやぁ!!!」
「ゔゔゔゔゔ」
その姿は、正に理性を失った獣。
トドメを刺そうと 彼女は再び口を開いたその瞬間
「縛道の六十一 六杖光牢!!」
臨の腹部に 六本の光が突き刺さった。
「おあああああああああああ!!!!!!」
その視線が 朽木白哉へと向けられる。
その側にいるルキアが目に入ると、彼女は再び踠き出し、縛道から抜け出そうと暴れた。
「び………白哉さま、助けて……助けてくださいませ………」
姫乃から、哀れな声が漏れる。しかしそれに一瞥もせずに白哉は臨へと近付くと、その風貌に眉を顰めた。
「………桜木姫乃、貴様の仕業か」
「ち……ちが」
白哉が臨の頬にそっと触れると、臨のその何処も見ることもできなくなった目から、赤い涙が流れた。
「………臨」
白哉が 己の斬魄刀を抜く。
その様子にルキアはそっと目を細めると
臨の首が
地面へと落ちた。