第263章 ---.首から落ちた花
「ああ、ああ!ああ!!せっかく羽澄様を唆して、邪魔者を消そうと思っていたのにまさか失敗するだなんて!!」
甲高いキィキィ声に、臨は顔を歪めると、その女は倒れ込んだ臨の髪を掴んだ。
「空間転移か………!」
「ご明察!流石霊術院の鬼道講師、鬼道のスペシャリストというだけあって禁術も熟知しておりましたか!」
それと同時に、袖から純白の筒を取り出す。
「まさか………それは!?」
「白哉様ったら、ちゃんと持ち歩いてるんですもの。空間転移でパパッと抜かせて貰いましたわ」
カシュンと軽い音を立てると、その漆黒の鍵に 少女は口元を三日月に歪めた。
「こんな小さな鍵が、あの強大で絶対的な地獄の門を開けるだなんて」
その細い指が鍵を取り出すと、それにそっとキスをした。
「桜木姫乃………!」
「先程羽澄様を殺したのは貴方の得意な斬術でしょう?最終奥義 天斬。実際に見たのは初めてですが、その能力に致命的な欠点があるのを私は知っています。体内霊圧を極限まで上げてブーストとするのでしょう?それ故に、1日に二度は放てない」
姫乃が臨を見下ろす。
「貴方はただ、見ていてくださいまし。地獄の門が開くところを。
私が地獄を使役する様を!!」
黒い鍵が 掲げられる。
「混沌と牢獄 黒き霧に身を委ね 業火の炎に身を焼き尽くす 白き屍に看取られ 赤き雫を贄とし その漆黒の翼に懸想せよ
禁術 第八十七番
死霊大門!!!!」
鍵から瘴気が漏れ そこからゆっくりと巨大な門が出現する。
さまざまなものが混じる霊圧に臨は目を大きく見開くと、姫乃は高らかに笑った。
「これです、これですわあ!!これこそが私の求めていた力!!」