第261章 ---.貴方を誇りに想ふ
「兄様!!!!」
一番隊の隊舎から出たところ、白哉はルキアに呼び止められ、足を止めた。
「姉さん………臨殿は、どちらにおられますか……………」
息を切らしたルキアが、問いかける。
その問いに、白哉は少し迷ったあと、直ぐに答えを口にした。
「来ていない」
ルキアの顔が、驚愕に歪む。
それと同時に、彼女はへたり込み、呟いた。
「………………嘘だ…」
「嘘ではない。瀞霊廷内で、芭蕉臨の右目と斬魄刀が見つかった」
「嘘だ!!!!!」
そう叫ぶと、ルキアは白哉を睨みつけ、悲痛な叫び声をあげた。
初めて見たその表情に、白哉の顔が歪む。
「嘘だ!!!姉さんが負けるなんてありえない!!だって姉さんは強くて、私の憧れでっ」
「芭蕉臨は敗北し、恐らくどこかに拉致、及び監禁されたと見ている。それがーーーー事実だ」
「嘘を言うな!!!!!」
金切り声と共に、白哉の髪が一房切れる。
「あ………」
それに我に返ったのか、ルキアは自身の手に握られた斬魄刀を見て、再び白哉へと視線を戻す。
すると白哉は、押えろと小さく、何もない空間へと呟いた。
それと同時に、朽木の紋が入った隠密達が一斉にルキアへと飛びかかる。
それに抵抗することなく、ルキアは捕縛されると、白哉は口を開いた。
「少し……頭を冷やせ」
「っ…………!」
白哉がルキアへと背を見せる。
そのままゆっくりと、いつも通りの速度で歩を進めていくと、いつしかルキアの視界から、男は消えて行った。