第259章 ---.手を伸ばせども 届かない
「いすゞー!!」
臨の声が 青空の下で響く。
般若のような顔をして人の名を呼ぶ彼女の顔に 雷門いすゞは木の陰にかくれ様子を伺った。
(うわあ……やばい、こないだの霊術院のテスト見つかったのかなあ、先生が怒る理由なんてそれしかないよなあ)
そう思っていた矢先、その頭にたおやかな手が置かれ、いすゞの肩が跳ねた。
「ヒィッ!!!」
「いーすーゞーー…………」
強烈な握力により、少年の頭に指が食い込む。
「いいいいいいい、言い訳をさせてください先生!!!!」
「問答無用!!あの泣き虫小僧が漸く霊術院に入ったと聞いたから顔を出してみれば………なんですかこのテストは!?そこに立ちなさい!!!!」
臨が斬魄刀を抜こうと手をかけると、クスクスと声が聞こえ 二人の視線が縁側へと向いた。
「臨様、弟はあのテストで、私にこってり絞られておりますわ。
どうか許してくださいまし」
「姉さん!」
「羽澄嬢……」
「あら、臨様、羽澄で良いと前から言っているじゃないですか。………お久しぶりです」
「久しぶりですね!嫁に出たとお聞きしたのですが……?」
「家出中ですの。いすゞの説教もその辺にして、ワタクシとお茶でも致しませんか?丁度、姫乃もいるのですが……」
すると、少女は羽澄の陰から現れ 声高々に笑い声をあげながら臨を見下ろした。