第257章 422.the silent victory
「ーーーなァ、臨、藍染は………藍染は本当に、崩玉に拒絶されたのかな」
「…」
「親父が話してくれたんだ。崩玉の能力は、周囲の心を取り込んで具現化する事ーーーー
だとしたら、もしかして藍染は 自ら望んで力を失ったんじゃねえのかな
俺は、藍染と互角に戦えるだけの力を手にしてようやく、戦いの中であいつの刀に触れられたんだ。
あいつの刀には、孤独しかなかった。
あいつの力が昔から飛び抜けてたなら あいつはずっと自分と同じ目線に立ってくれる誰かを探してたんじゃねえのかな。そして、それが見つからねえと諦めた瞬間から、あいつはずっと心のどこかで、ただの死神になりたいと願ってたんじゃねえのかなって」
臨が目を伏せる。
それに一護は唇を噛み締めると、その背後に現れた気配に驚き、振り向いた。
「…く………黒崎くん……?」
振り向いたその先に 虚圏にいた面々がいて、驚く。
「井上…石田…….ルキア…チャド….恋次…………何だよオマエら…もう起きて大丈夫なのかよ!?」
「やっぱり黒崎くんだ…髪長いからもしかしたらちがうんじゃないかと思って………よかった……よかったあ……」
織姫の顔が くしゃりと歪む。
それに一護はなんつーカオと笑い、立ち上がろうとした瞬間 その身体が大きく傾き、地面に倒れこもうとした。
それを、臨が抱き止め、意識の失った彼に 小さく声をかける。
「ありがとう、一護。今は ただ休んでください」