第16章 16.Wasted but Wanted
「よく跳ねる高校生!?」
野菜馬鹿と書かれた鉢巻をした店主がくわえ煙草で片目を開く。
「野菜を買うてくれりゃ思い出すかもしれんのォ」
「本当か!」
ルキアがそう喜ぶものの、臨が綺麗なラリアットを決めずるずると引きずる。
折角の手がかりを何故止めるのですかと叫ぶルキア。すると臨はあのお爺さんはいつものことですからと言った。
「訊くなら他の奴にしろ!!」
一護がそのあとを追いかけていくと、ピピピとルキアの伝令神機が鳴った。
「何だよこんな時に!まさか指令だとか言うんじゃ……」
ルキアの胸ポケットに容赦なく手を入れそれを開く臨。
「残念ですがそのようです。」
「五分後に虚!近いぞ!!」
空座町の一角で、少年たちの悲鳴が上がる。
その場に駆けつけた女教師は眉間に皺を寄せ、何事かと彼らを叱った。
「橋上くん、金田くん、伊野くん!またこんなトコでサボって!何があったの!?」
「こ、これ、知らない高校生が飛んできて……」
金田と呼ばれたメガネの少年は、持っていた壊れたゲームを見せる。すると泣き崩れ、オレンジの頭の人物に壊されたと悲鳴をあげた。
「またそんなこと言って!どうせまたケンカして壊したんでしょ!」
その様子を見にきたほかの生徒たちを戻ってと教師が声をかける。
サボっていた3人にゲーム機のゴミを片してから来なさいと一言かけると、彼女もまた授業に戻っていった。
青年の脳裏に先ほどの3人の少年の言葉が反復する。
消しちゃえば
「ちくしょう、あのガキども、ヒデーことしやがって……せっかくのイイ気分が台無しじゃねえかよ、くそっ」
そう呟いた瞬間、彼は突然振り返る。
何かを思ったのか、彼は元来た道を走り始めた。