第208章 ⁇?.Idle talk
地獄蝶がひらひらとこちらへ飛んでくるのが見え 人差し指を指す。
すると 彼女はゆっくりと私の人差し指に留まった。
六番区・居酒屋
ちくしょうめい
少し小汚い暖簾を左手で持ち上げ 店内を覗くと そこには既に見知った面子が揃っており 思わず口元が緩んだ。
「ごめんなさい、遅れました」
「もうっ 遅いわよ臨!主役は遅れて登場とか言うけど 2時間も待たせるなんて!」
そう文句を言う乱菊に 私は書類が溜まっててと苦笑いしながら言い訳すると 彼女は頬を膨らませてそっぽを向いた。
「待たせて悪いとは思ってますが、乱菊…と他の面子も、みんなもう呑んでるでしょう?」
「あったりまえじゃーん!ほら!早く座りなさいよーお!」
まあ いつものことだと乱菊の隣に座り 目の前の人物に注文はと聞いた。
「あたしとりあえず日本酒!」
「まだ飲むんですか……」
切り替えの早い乱菊にはいはいと答えながら メニューへと眼を通す。
「俺 麦茶でいっス」
そう言う恋次に酔い覚ましかと笑うと 彼はうるせえと顔を真っ赤にした。
「俺も日本酒」
「僕も」
「一角と弓親も日本酒……檜佐木くんと七緒と鉄さんは?」
「俺麦で」
「私は水でいいです」
「俺も麦」
「七緒 ジュースでもいいんですよ。あ すいませーん」
近くにいた店員さんに臨は手をあげる。
「日本酒3合と麦2杯 麦茶1杯 芋はボトルで入れてください。と あと人数分のコップと水ピッチャーをお願いします」
「かしこまりました」
「食べ物は………そうですね ここに載ってるの全部一つずつお願いします。」
その言葉に 店員さんは少し驚いた顔をした後、かしこまりましたと笑みを浮かべた。