第205章 284.Historia de Pantera
臨の斬魄刀の刃先から 血液が伝い落ちる。
その瞬間 グリムジョーは彼女の右腕を掴んだ。
「ふざけんじゃ………ねえぞ……!こんな……こんなもんで………勝ったつもりか………!?この……俺によ!!!」
ギリアン に 個は無い。
最下級の大虚であるギリアンは
幾百の虚が折り重なって生まれるとされる。
だが それは正確には誤りだ。
虚は失くした中心を埋めるため
魂の渇きを消し去るために人間の魂を喰らう。
だが
何故かその渇きが極端に強い虚は 同属である虚の魂を求めるようになる。
虚の魂を欲する虚達は自然と集まり
そこで互いを喰らい始める。
そうするうち 魂が溶け合い 個を失い
莫大な霊力を持つ巨大で愚鈍なギリアンとなる。
だが
共喰いの中の一体の能力や自我が
余りにも他を超絶していた時
稀にギリアンと化して尚 個を失わぬものが現れる。
そのものは更に他のギリアンを食らって進化を続け
やがて その名をアジューカスと変える。
アジューカスとなった者は 更なる恐怖に晒される。
それは 退化の恐怖
同属の虚を喰らい続けなければ
アジューカスはギリアンへと退化する。
そして 退化したものは100%の確率で個を失い 二度とアジューカスに戻ることは無い。
強いな 名は何と言う 中級大虚。
ーーーグリムジョー
我等と手を組め グリムジョー
ただでとは言わん。
ーーー何の真似だ
我等 下級大虚や中級大虚などで終わる気は無い。
必ずや 最上大虚に上りつめる。
その為には 力が必要だ。
我等を牽引する 強大な力が。
貴様にこそ それは相応しい。
共に行こう グリムジョー
貴様が 我等の王となるのだ。
グリムジョー