第191章 267.Legions of the Reglets
化けの皮が剥がれた 異形にルキアは呆然とする。
水槽の中に浮かぶ 二つの仮面。
「ーーーーな……何者だ……貴様は……!?」
「…何度も言わせるなよ 俺が第9十刃 アーロニーロ・アルルエリ」
「顔ノ事ナラ黙ッテナヨ。僕ラ コノ顔ノ感想ナラ」
「疾うの昔に聞き飽きてる」
アーロニーロと名乗ったその破面は 腹に食い込んだ縛道を撫でる。
「六杖光牢か……現隊長の中では 朽木白哉の得意とする鬼道だな」
そんな事まで知っているのか と ルキアは眉根を寄せる。
「二重詠唱 六杖光牢 双蓮蒼火墜。これは芭蕉臨がよく使用していたな。お前が遣えるというのは記憶に無かったが……馬鹿な奴だ。今の術をオレに直接当てていれば 手傷くらいは負わせられただろうにな。」
「二の次だ」
弾かれた袖白雪を 再びルキアは手に取る。
「私は 陽の光で貴様の変化能力を 貴様の正体を暴けると読んだ。私にとって最も重要な事はそれだ。貴様が海燕殿ではないと 証明することだ。その一点さえ明らかならば 私は 何の容赦も無く 貴様を斬れる」
そう告げ 剣を構えると アーロニーロはまるで笑っているかのように大きく手振りし 聞き間違いかと問いかけた。
「容赦が無ければ オレに勝てると言ったように聞こえたが……………嘗めるなよ」
その瞬間 アーロニーロは影へと移動し 再びその姿を変化させていった。
「オレの力は 陽の光の下じゃ遣えない。確かにそうだ。だが 影さえあれば 遣えるんだ
何度でもな」
再び 海燕の顔へと変形する それに ルキアの額に 冷たい汗が流れ落ちた。
「全く…監視の為か何か知らないが 迷惑な話だ。折角闇しか無い虚圏に 現世の太陽を真似たモノを作るなんて。オレみたいに闇が無いと 能力を使えない奴も居るってのにな………オレの力を 変化能力と言ったな?」
「………違うとでも言うのか」
「違うぜ お前は知ってる筈だ」
「…どういう意味だ……」
ルキアの脳が 否定する。
この男は 志波海燕では無いと。