第183章 254.チョコラテはここに置いて行け
「なにっ……なにを…….!!何をしている貴様あああ!!!」
「なにって….ヨダレかけてるっス」
「見ればわかるそんなことは!!!何故吾輩にヨダレをかけているのかと訊いているのだ!!!」
きゃんきゃん騒ぐドルドーニに 臨はクスクスと笑い 一護はうるせえなと視線を向けた。
「何騒いでんだ ドン・パニーニ」
「ドルドーニだ!!!何だそのおいしそうな名前は!?」
「コイツのヨダレには 弱いけど治癒能力があるんだってよ なっネル?」
「あいっス だからこうして…….」
ネルが喉へと手を突っ込み 口蓋垂を捻る。
するとドルドーニの幹部へと ゲロのようなモノを吐き出した。
「ヨダレではない!!ゲロだそれは!!!」
「のどちんここねるとヨダレがいっぱい出るっス」
「だからゲロだ!!!ていうかレディがちんここねるとかいうな!!!ってああっ!や……やめ……イヤーーー!!!」
グッタリとしたドルドーニが 口を開く。
「…….完敗だよ 清々しい程にな。吾輩の体には力が満ち 心には勝利の意志が満ちていた。いつ何時打ち込まれようと 受け切り打ち返すという確信があった。油断は無かった 只 見えなかった…………強いな ぼうやは」
「………そんなこと無えよ」
「…………吾輩は 十刃に戻りたかった。十刃は藍染殿の忠実な下僕だ そして 藍染殿はその十刃を戦いの道具程にも思ってはいないだろう それは解っている。だが 一度高みに立った者は その眺めを忘れられぬものだ。あの場所は堪らなく心地良かった。吾輩は 全力のぼうやを倒せば藍染殿に再び認められ 十刃に返り咲くことができるやも知れぬと考え その為にぼうやに虚化を促した…………そして その心はーーーー……今も変わらぬ!!!」
ドルドーニが剣を抜く。
「事情も知れぬ敵の傷を癒すということは 反撃は覚悟の上でのことだ!違うかね?」
「やめろ!まだ動ける程には回復してねえだろ!!」
「傷とは 気構えに負うものだよぼうや。戦う意志さえ回復すれば 体の傷など取るに足らん
そこがチョコラテの様だと言うのだ!!ぼうや!!!」