第173章 238.Eagle Without Wings
「………わかりました 山本総隊長。それではこれより 日番谷先遣隊が一六番隊副隊長芭蕉臨 反逆の徒井上織姫の目を覚まさせる為 虚圏へ向かいます。」
その言葉に その場にいた全員が驚くが ルキアも肩を並べ 同じくと告げた。
『ならぬ』
しかし 無情にも元柳斎はそう告げる。
「それは井上織姫を見捨てろということですか」
『如何にも 一人の命と世界の全て 秤に掛ける迄も無い。破面側の戦闘準備が整っておると判明した以上 日番谷先遣隊は全名即時帰還し 尸魂界の守護についてもらう』
その言葉にルキアは 従いかねますと声を荒げると 元柳斎はやはりかと声を漏らした。
『ーー手を打っておいて良かった』
直後 部屋の後方に穿界門が出現し その場に現れた更木剣八 朽木白哉の両名に 臨は絶句した。
「っ………そうまでしてっ」
「そういう訳だ 戻れ お前ら」
「手向かうな 力尽くでも連れ戻せと命を受けている」
臨が刀に手をかけたのを一瞥し 白哉がそう告げると 臨は顔を歪め手を離した。
「……俺がいく」
一護がそう告げ 臨がバっと振り向く。
「尸魂界に力を貸してくれとはいわねえ……せめて 虚圏への入り方を教えてくれ。井上は俺達の仲間だ 俺が一人で助けに行く」
「…一護……」
するとその言葉にも 元柳斎は無情に答えた。
『ならぬ』
「ーーーっ」
『おぬしの力はこの戦いに必要じゃ 勝手な行動も犬死にも許さぬ。命あるまで待機せよーーーーーー以上じゃ』
臨が白哉につれられ 穿界門へと入れられる。
「っ……ごめんねーーー」
閉まる穿界門
一人 一護だけが取り残された。