第9章 8.Chase Chad Around
朝、登校中に私は夏梨ちゃんが具合悪そうにふらふらと登校しているのが見え、近付いた。
「おはようございます夏梨ちゃん、大丈夫ですか?」
「あ…………臨の姉ちゃん……」
その顔色は真っ青で、いつも一緒にいる遊子ちゃんがいないことに気付いた。
「遊子ちゃんは?」
「先に行かせた……」
そう言われ、そっかと答える。
その彼女からほんのりと虚の気配を感じ、私は目を細めた。
「はい、夏梨ちゃん。」
「な、なにしてんのあんた?」
「送って行きますよ。乗ってください。」
悪いからいいと通り過ぎようとする夏梨ちゃんのランドセルを掴み、勢いで横抱きにする。
「はいはい、子供が遠慮なんてしないんですよ。」
「やめろっ、おろせっ!」
「暴れないでくださいね、落ちますよ。」
小学校の前で夏梨ちゃんを降ろし、無理だったら早退しなさいねと言うとあんたはあたしの親かと言われその場を後にした。
伝令神機には何もなかったが、この町に虚がいる。
技術開発の奴らめ、仕事しろと思い舌打ちすると、私は走った。