第126章 169.end of hypnosis
乱菊と吉良が対峙する中 日番谷は来た道を引き返す
清浄塔居林へと連れてこられた雛森は どうしてあたしをこんなところに と市丸に聞いた。
「……逢わせたい人 おんねん」
「……逢わせたい………あたしに……ですか?」
「そうや。」
市丸がくるりと振り返り、雛森の背後へと視線を向ける
「ほれ 見てみ 後ろ」
「うし………ろ……?」
振り返る雛森
その視線の先には
敬愛した その人物の姿があった
「………あ……藍染……隊……長……」
「……久し振りだね…雛森くん」
信じ難い
「……本当に…藍染隊長なんですか………亡くなられた筈じゃ……」
「……大丈夫 この通り生きてるよ」
「あ……藍染隊長……藍染隊長あたし……あたしはっ…」
雛森が藍染の隊長羽織を掴む。
「……藍染…隊長……」
「……すまない…………心配をかけたね 雛森くん」
藍染の大きくて温かい手が 雛森の頭を撫でる
ああ
藍染隊長の 掌だ
いつもと同じ 心を洗い流してくれる
藍染隊長の 匂いだ
本当に 藍染隊長だーーーー
耐えきれず 雛森の嗚咽が漏れる。
藍染はゆっくりと雛森を抱きしめると、少し痩せたねと声をかけた
「……本当にすまない 君をこんなに傷つけることになってしまって…….だけど わかってほしい。君しかいなかったんだ 僕にはやらなければならないことがあり、その為には身を潜めなければならなかった………その為に死を装い 君にーーー」
「……いいんです」
雛森が首をふる
「……もう いいんです。 隊長が生きていて下さっただけで あたしはもう何もーーー……」
喜びの涙が 藍染の隊長羽織を濡らしていく。
「……ありがとう 雛森くん………君を部下に持てて 本当に良かった。
ありがとう 雛森くん……本当にありがとう………
さよなら
」