第82章 98.星と野良犬
「………だが今にして思えば、ビビってただけなのかもしれねえな……俺は」
目の前がグラつく。
地面に血液が流れ落ちる
「まったく…骨の髄まで野良犬根性が染み付いてやがるんだ…………厭になるぜ」
視界がぼやける
ああ
「星に向かって吠えるばっかで、飛びつく度胸もありゃしねえ………!」
それでも最後の力を振り絞り、こいつの胸倉を掴む
「………俺は結局、朽木隊長に一度も勝てねえままだ………ルキアがいなくなってからずっと、毎日死ぬ気で鍛錬したがそれでもダメだった………あの人は遠すぎる!力ずくでルキアを取り戻すなんて……俺にはできなかったんだ!!!」
立ってられねえ
「………黒崎…恥を承知でてめえに頼む!!」
これだけは
これだけは
「………ルキアを…ルキアを助けてくれ…………!!!」
そこで意識は途切れた。