第80章 96.BLOODRED CONFLICT
朽木白哉の凶刃が臨の刀に合わさる。
渋い顔をしながら後ろにひく白哉
刀が霧散し臨へと向かっていくと、彼女は左手を前へと出した。
「闐嵐」
竜巻が発生しその刃を吸い込む。
「このまま返しますね。」
刃の竜巻が白哉へと向かう。容赦のないその攻撃を間一髪で躱すと、白哉は刀を元の形に戻した。
その間に臨が詠唱を唱える。
「君臨者よ 血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ 蒼火の壁に双蓮を刻む 大火の淵をーー」
その前に白哉の蹴りが側頭部に入りそうになりそれを左手の甲で止める。
それと同時に臨は右手で持っている刀を容赦なく顔に向けた。
白哉の頬に赤い線が走る。
「私は死なせるためにルキアを朽木家に入れたわけじゃない!」
人を視線だけで殺せそうとはまさにこのことだろう。
白哉は体勢を整えると再び刀を構えた。
臨も刀を構える。
二人はほぼ同時に踏み込むと再び剣がぶつかった。
交差した刀の先が双方下へと向く。パワーは白哉の方が上、しかし臨が白哉の腹に蹴りを入れると、その身体は大きく吹き飛ばされた。
臨の圧倒的優勢に見える。しかし臨は気付いていた。
「………何故本気を出さない朽木白哉!!」
悲痛な声が辺りに響く。
そして白哉の胸倉を掴むと拳を握りしめその顔を思い切り殴った。
「ふざけるなよ白哉!!お前が何を考えているのか知らんがっ………!」
臨の言葉がつまる。
するとその怒号が聞こえたのか、辺りが急激に騒がしくなった。
「っ……………胸糞悪いっ!」
白哉を放し、瞬歩でその場を後にする。
残された白哉は何を思っていたのか
徐に立ち上がると追うこともなくその場を離れた。