第62章 74.Armlost, Armlost
まるでスローモーションのように兕丹坊が倒れていく。
何が起こったのかわからないといった兕丹坊の表情。
「く……黒崎の奴、今なにやった……?」
石田が信じられないとそうつぶやくと、兕丹坊は自身に起こったことに気が付き、信じられないと立ち上がった。
「ぶ、ぶはーーーっ!!あ、あぶねえあぶねえ!オラとすだこどがうっがりすべって尻もぢなんかついちまっただ!」
恥ずかしそうに兕丹坊があたまをかく。
「あっ!?なんだお前えその顔!?さではお前え、今オラが吹っ飛んだと思ってんだべ!?ははっ!何言ってんだお前え!おらが吹っ飛ぶなんてそっだらこどあるわげねえべ!!まっだぐこれだから田舎もんは困んべな〜〜!まっでろよ〜〜〜今もっかいオラの斧で……」
兕丹坊が手元の斧の柄を見て、黙る。
「お……斧っ!?オラの斧!?オラの斧がっ!?」
キョロキョロと両手を交互に見つめる。
するとキョトンとして
「オラの………斧があ…………!!」
その両目にたっぷりと涙を溢れさせた。
「ごわれぢまっだ!!壊れぢまっだ!!オラの斧が……ごわれぢまっだあああ〜〜〜!!!」
地面に蹲り泣き出す兕丹坊に、一護がタジタジになる。
「えっ、えっと、なんつーか……悪かったな…………斧壊しちまって………なにも2本とも壊すことなかったよな俺も………なっ?」
「うおお……うう……うえっお、お前え…………っ……………いい奴だなぁ……!!」