第58章 70.Where Hollows Fear To Tread
「………す………すごーーーい!!あの店の地下にこんなでっかい空間があるなんて!かっこいい!秘密基地みたい!!」
浦原商店の中に入り、梯子を降りた織姫はそう叫ぶと、鉄裁は感激したかのように織姫の手をきゅっと握りしめた。
「素晴らしいリアクション……!このテッサイいたく感激いたしました……!」
「えへへーー♪どうもどうも!」
その様子を見て、浦原がこちらに注目と叫ぶ。
一斉にそちらへ視線を向けると、そこにはお札が大量に貼られた額縁のような何かが置かれていた。
「さ、これが尸魂界へ続く門、穿界門。よーーーく聞いといてくださいね、これから教えるのはこの門を死なずに通り抜ける方法っス。と、その前に」
臨が一護の側頭部に唐突に手をあてる。
それと同時に一護は肉体から魂魄が抜かれると、何が起きたかわからないというような様子で目を白黒させた。
「な、急に、なっ」
「「「おーーー!!」」」
その抜かれる瞬間を初めて見た織姫、石田、茶渡が感嘆の声をあげる。
「キレイに抜けるもんだなあ」
「ねえねえこっちの黒崎くんにはもう黒崎くんは入ってないの?」
ヒトを金太郎アメみたいにいうなと思うが、動揺で何も答えられない。
かろうじて言えたのは、何勝手にヒトの体触ってんだよという一言だった。
「そうだそうだ!これからしばらく俺の体になンだぞ!ナレナレしく触ってんじゃねーよ!!」
コンが一護のカバンから飛び出してくる。
それにさらに一護は驚くものの、コンは気にせず言葉を続けた。
「あ!でも井上さんだけはさわっていいからね♡」
「こ、コン!なんでテメーがここにいんだよ!?」
ぬいぐるみが喋る姿に、3人が絶句する。
「置いてくなんて言わせねーぜ?男一匹コン、花も嵐も踏み越えて尸魂界へのり込む所存……」
しかし、その言葉は可愛い物好きである茶渡の厚い抱擁により、遮られた。
悲痛な叫びが辺りに響く。
「はいはーい、こっち向いてー!門の解説始めるっスよーー!」