第48章 60.Lesson 1-2 :DOWN!!
一護が雨から逃げ惑うのを見ながら、臨は鉄裁の作った鬼道の膜の中に入り、その様子を眺めていた。
「受けてみよ正義の力!正義装甲ジャスティスハチマキ!!装☆着!!!」
恥ずかしいセリフを言う一護を生暖かい目で見守る。
「どうですか、臨殿。」
鉄裁のその声にいい感じですねと自身の霊力の回復状態を確認する。
暇だ
そう思い浦原へと声をかける。
「私も久々に、誰かと手合わせしたいですね。」
「ダメっスよ、先ずは霊力を回復してから、限定霊印を消さなきゃいけないんスから。」
「………本当に、面倒ですね。」
眉が密かに寄せられ、不機嫌そうな表情をする。
「戻った時の霊力を受け止めきれる程度の霊力は必要ですしねえ、そんな顔しないでくださいよ。」
浦原がそう言うことにより、臨は諦めたかのように目を伏せ、わざとらしく大きくため息を吐く。
そして再び目を開くと、今度は一護と雨の様子を見た。
雨に一護が正面から向かい合い、彼女の拳を交わしていく。
瞬間、彼は自身の手を伸ばし雨のヘッドギアに当てようとしてかわされた。
「あっ」
臨が驚いたかのように声をあげ、食い入るように見つめる。
「いけそうですね。」
一護が今度は両腕を交互に繰り出し、雨を追い詰めていく。
繰り出した右手は雨の頬を掠め、薄く血を滲ませた。
雨の姿が一瞬で消える。
すると彼女は先程自身の頬を掠った右腕に留まり、右脚を振り上げた。
轟音と、砂埃が舞う。
吹き飛んだ一護を臨の視覚が捉え、あーあと呟くと、浦原が砂埃から現れ、雨の足を掴んだままセーフと不敵に笑った。
「………う…………………げっ。」
それと同時に、一護とそれを受け止めた鉄裁が現れる。
その様子に一護は俺の負けかと悔しそうに呟くと、もう一回と叫んだ。
「いーえ!オメデトさんですよ。レッスン1、クリアっス!」
しかし、浦原のその言葉に一護が面喰らう。
「な、なんでだよ!?俺その子に負けたんだぜ!?」
「おやァ、あたしゃのされる前にのしちゃえっていっただけで、ウルルをのしたらレッスンクリアなんて一言も言ってないスよ?」