第47章 59.
「よォ」
恋次がルキアに声をかける
「いつまでヘソ曲げてんだよルキア?メシぐらい食わねーと体もたねえぞ」
そう言うとルキアはゆっくりと振り向き、ヘソなど曲げておらぬと不敵に笑った。
「腹が減っておらぬだけだよ、副 隊 長 殿 。」
強調して言った副隊長と言う言葉。
「なんだてめえ?俺が副隊長ってコトに何か文句でもあんのか!?」
恋次が眉を吊り上げ噛み付く。
「イヤ別に?私のおらぬ二月ほどの間に随分と頑張って出世したな……と感心しておるのだ。良いではないか似合っておるぞ、がんばれ副隊長殿!強いぞ副隊長殿!ヘンなマユ毛だ副隊長殿!」
「殺す!こっから出てこいてめえっ!!」
そう言って恋次が牢の前で暴れる姿を見て、隊士は苦笑いした。
ふと、ルキアの笑みが消える。
「……私はやっぱり、死ぬのかな…………」
「バカてめーあったりめーだろそんなの!てめーなんかスグ死刑だスグ!!」
その答えにそうかと静かに答える。
直後、恋次は再び牢をガシャガシャとゆらした。
「バカてめージョーダンに決まってんだろジョーダン!!」
「どっちなんだ一体!?」
すると恋次は暴れるのをやめ、牢に寄りかかる。
「今朽木隊長が本部に報告に向かってる。そこで恐らくテメーの減刑を請う筈だ、あの人はオメーの兄貴だろ、みすみすオメーを見殺しになんかしやしねぇよ。」
ルキアが黙りこむ。しかし何かを悟ったように喋り出した。
「あの人は私を殺すよ。」
それに恋次が驚く。
「私はよく知っている、あの人がどういうひとなのか…………朽木家に貰われて四十余年ーーーーあの人はいちどだって、私を見てくれたことはないよ。」