第44章 56.broken coda
「な、何すんだル……」
「人間の分際で兄様の裾を掴むとは何事か!」
ルキアがそう叫ぶと、一護は目を見開いた。
「身の程を知れ!小僧!」
「なっ………」
「参りましょう兄様!今の此奴の行動でこの朽木ルキア目が覚めました!どうぞ私を尸魂界へとお連れください!慎んで我が身の罪を償いましょう!」
その言葉に一護は何言ってんだよと怒りを露わにするも、恋次に背を踏まれる。
「往生際の悪ィ野郎だな」
地面を更に血が流れる。
ルキアはそれを一瞥すると、再び言葉を続けた。
「この者にはわざわざとどめをさすこともありますまい、捨て置いてもいずれこのまま息絶えましょう………参りましょう兄様。」
「……待てよルキア!何のジョークだよ!!」
ずるりと一護が体を動かす。
「動くな!」
そう言うとルキアは振り向き、一護を突き放すよう、言葉を吐いた。
「そこを一歩でも動いてみろ……私を追ってなど来てみろ……私は貴様を、絶対に許さぬ……!」
その顔はとても、苦しそうで
「いずれ死ぬ命、そこに伏して一瞬でも永らえるがいい」
ぽたり、と
雨が降り始める
すると白哉は柄にかけたてをはなし、口を開いた。
「よかろう、その者にはトドメは刺すまい。先程の二撃で魂魄の急所、鎖結と魄睡を完全に砕いた、その者は半刻もせぬ内に死ぬだろう……仮に生き永らえたとしても、力の全ては失われる。死神の力はおろか、霊力の欠片さえ残るまい。
………何れ臨も尸魂界へ来ざる得なくなるだろう、恋次。」
「いいんスか?」
白哉が何も言わずに目を伏せる。
すると恋次は刀を前に出し、解錠と声をあげた。
唐突に現れた襖が、開いていく。
声が出ない
動けない
俺はまた 護られた