第39章 51.DEATH 3
「石田!?どうしたのそのケガ!?」
授業中、珍しく遅刻してやってきた石田雨竜に、担任の越智は驚き声をあげると、彼は階段から落ちましたと簡潔に答えた。
それに対し周囲はベタな理由だなと心で思うも、越智は へー と言い、まあいいやと石田に席に着くように促した。
いいのかとざわつく教室内、しかしクラスメイトはあまり石田の怪我には興味がないようで、みんなが教科書へと視線を戻した。
ただ一人を除いては。
「あまり気に病むな、一護のせいではない。」
その声に唯一石田を気にしていた一護の肩が跳ねた。
「べ、別にあんなモン心配するほどのケガじゃねーよ!」
「ほう、誰が心配してると言った?私は気に病むなと言ったのだぞ?」
言葉のあやをとったルキアが勝ち誇ったかのようにふふふと笑う。それに一護は怒った様子で彼女を睨み付けると、愛おしそうに、苦しそうにルキアを見つめる臨が視界に入った。
不意に、一護と臨の視線が交わる。
すると臨は少し困ったような顔をして、人差し指を立て唇へと当てた。
「ジン太くん、ちゃんとおそうじしてよう」
空は快晴、しかし彼女の名前は雨という。
そんな彼女のお願いに隣にいたジン太と呼ばれる少年はうるせえと一喝し、その手に持ったほうきを振り回して声をあげた。
「シュートぁ!!」
どうみてもその動きはホームランである。
呆れたように雨はため息を吐くと、彼女は外に黒い綿毛のようなものを見つけた。
慌てて浦原商店と書かれた建物の中に入り、そこの店主の名を呼ぶ。
「キスケさん、にゃんこ」
指差す先には、美しい毛並みの黒猫。
するとキスケと呼ばれたその男は嬉しそうにその猫に駆け寄り、夜一サンと呼んだ。
「お帰りなさーい♡」
猫を高い高いと振り回すその男に、なんだあのネコとジン太が首を傾ける。
するとその疑問に応えようと鉄裁は口を開いた。
「夜一さんといいましてな、店長の無二の親友なのですよ。」
「無二の親友がネコかあ」
三人の目が気の毒そうにネコと男に視線を向いた。