第38章 50.
懇願の声
すると石田は動揺したかのように瞳を揺らし、臨に問いかけた。
「……どうすればいい」
「!……一護の霊気を奪い固め、滅却師の霊子兵装で放出してください」
「おまっ、勝手に」
「わかった」
石田が霊子兵装の形状を作る。
普段よりも圧倒的な霊気量に、それ自体が破裂しそうになるのをなんとか形として止める。
矢を引くと自身の皮膚が裂けていくのを感じた。
「っ」
その痛みに耐え、天へと矢を放つ。
「な、にしてんだよ、おまえっ」
「うるさい!」
一護の問いかけにそう答える石田。
「なんだか、しんね、けど……やめろ、手……」
「うるさい!言ったろう!僕は死神を憎む!言ったろう!お互いここで生き残らなけりゃ殴る相手がいなくなる!礼を言えだって!?冗談じゃない!!生き残って殴らせろ!!黒崎一護!!そして僕を殴れ!!黒崎一護!!!」
耐えろ!あと少しだ耐えろ!!
ここで黒崎の力が暴走すれば霊体である彼自身は恐らく消滅する!そうなればそれは全てお前のせいだ石田雨竜……!
こんな無謀な手段をとったお前のせいだ……!!
"師匠の仇"と長年死神を探し続けた
やっと見つけた
思ったんだ『絶対に逃さない』と。
だから
周りの人間を巻き込むことをわかっていながらこんな手段も選んだ
だけどその死神は、その僕に『力を合わせよう』と言った。
ごめんなさい師匠
知っていました師匠
あなたが死神を憎んでなどいなかったこと
あなたの一番の望みが死神と力を合わせることであったこと
きっと僕は 目を背けたかった
あの時 自分の身を捨ててあなたを助けようとしなかった情けない自分自身から
あの時 師匠を止めずに共に戦った死神を疎んだ自分自身から
僕は死神を憎むことでそこから目を背けようとしていたんです
師匠 今日 僕は 死神を助けます
僕は 許してもらえますか?
弱い弟子です。
あなたの為に命も捨てられない弱い弟子です。
僕を
僕を許してもらえますか?
「…………師匠…………」