第35章 47.Back to Back〜Tearing Sky
「背中合わせ………なんだそれは?」
石田の口からそんな声が漏れる。
「共同戦線を張るということか?滅却師と死神が!?」
「それ以外の意味に取れんのかよ!?」
無茶だと石田が不安な顔をするものの、一護がまだそんなこと言ってんのかよと眉をひそめる。
その様子に反論しようとした途端、彼の頭に一護の大刀が通り過ぎた。
今度は石田の目の前に現れる虚、それに驚き彼も矢を放つ。
その様子に一護はそうだよと呟いた。
「勘違いするな!今のは撃たなければ僕がやられていたからだ!!」
決して一護を助けたわけではないと石田が念をおすが、それでいいと一護が笑う。
「やらなきゃやられる、でも一人じゃキツい、だから仕方ねえ力を合わせる!そんなモンでいいんじゃねえのか、力合わせる理由なんてのはよ。………俺は元々人間だし、正直死神のことなんてまだよくわかってねえ、この仕事に誇りとか持ってやってるワケでもねえ、ただ俺は虚を倒したいだけなんだ。」
そう言う一護に、石田が何故と問いかける。
一拍
一護は静かな声で、ただ淡々と事実を告げた。
「俺のおふくろは虚に殺された。」
「…………」
驚きを隠せず、一護の方へと石田が顔を向ける。
「それが理由で虚を倒したいのか?そう訊かれりゃそりゃもちろんそうだ。だけどそれだけじゃねえ、なんて言うか俺は……俺の同類を作りたくねぇんだ。虚におふくろが殺されて、ウチの親父も妹達もキツい目に遭った、そんなのはもういらねえって思うんだ。………そんなのはもう見たくねぇ、そう思うんだよ。」
"悲しむ顔を見るのは わしゃ辛い"
「俺はスーパーマンじゃねぇから、世界中の人を守るなんてでけーことは言えねぇけど、両手で抱えられるだけの人を守ればそれでいい、なんて言えるほど控えめな人間でもねぇんだ………
俺は山ほどの人を守りてえんだ。」
だからどんな理由でも、その山ほどの人間を巻き込むやり方をした石田を許さないと一護は言った。
その言葉に石田はすこし、ほんの少しだが罪悪感のある顔をする。