第26章 33.ROCKIN' FUTURE7
艶やかな長い黒い髪に、体育館へと向かう渡り廊下を歩く生徒たちがうっとりと羨望の眼差しを向ける。
キリっとした整った眉に、美しいアーモンド型の瞳、瑠璃色のようにも見える日本人らしくない青い目に、真っ白な肌と薄桃色の唇から紡ぎ出される美しい音。
しかし、その前いる正座をさせられた二人に気がつくと、生徒たちは巻き込まれまいとそっぽを向いてその場から回れ右をした。
「二人とも、自分が一体何をしたかわかっていますか?」
その声色は優しいながらも、厳しい。
地べたに座らされた二人は足が痺れ始めたのかもじもじし始めると、臨は大きくため息を吐いた。
「昨日のブラ霊を見ました。」
きた、とルキアの額からダラダラと冷や汗が流れる。
その様子をみて一護はそんなに怯えるほど怖いのかと聞くと、小さく頷くルキアに一護の頬にもひやりと何かが伝った。
恐る恐ると臨の顔を見てみると、その顔は無表情で
もともと人形のように美しい顔が、本物の人形のように不気味になっていた。
(めちゃめちゃこええっ!!)
慌てて視線を下へと向ける。
「特にルキア」
「ひっ」
「現世に来て浮かれているとはいえ、……あくまでも此れは任務。あの夜は偶然的に発生場所があそこで一護くんが虚を処理してくれたからよかったものの……あの場でもしも怪我人や死傷者が出たりしたら、どうするつもりだったのですか?」
「それは」
「怪我を治して記憶置換であのことを忘れさせる?それでいいと思っているのですか?」
「うっ」
「映像には残るのですよルキア。」
冷えた声。ルキアが怒られているうちにとそろそろと逃げ出そうとする一護の前に、今度は普通のボールペンが突き刺さる。
「何 を 逃 げ よ う と し て る の か な ? 一 護 く ん ?」
「ひぃっ」
「まだまだ君にも言いたいことは沢山あるのですよ。昼休みは休めないと思いなさい。」
鍵根から開放されたと思ったらと、二人の声が重なった。
その時、俺は臨の言っている意味がまだ理解できていなかった。
あの夜の出来事
そして
あの時残された映像が
おれたち全員の運命を ことごとく変えてしまったということに。