第25章 25.6/17 op.9
「なあ臨、いんだろ。」
黒崎医院、静かな診療室で響く一人の言葉。
「悪かったな。」
いるのかいないのかわからないその人物にそう言ったその声は無機質に響き、しかしその部屋に、ひとしずくの水滴を落とした。
血液が辺りを赤く染める
悲鳴をあげるグランドフィッシャーに、半仮面の男は静かにしろと眉を寄せた
「まったく、ほとんど力を使いもせずに逃げ帰りおって……いつまでも遊んでいるからだ。」
その声に同意するかのように、低い声が室内を響かせる
「まったくだ、わかってるハズだろ、死神を確実に殺すには首を斬り落とす以外にねえってことくらい。」
『す、すまん……』
メキメキとグランドフィッシャーの仮面にヒビが入る。
「すまんじゃねーよ、だからちゃんと準備しとけって言ったろ。俺ぁオメーの尻拭いさせられんのはゴメンだかんな。」
「まあそう言うな。そら、こうして面も剥いだことだし、もうこんなこともあるまい。なあ、グランドフィッシャー?」
「………ああ。」
むくりと起き上がる人間のような形をした男
「二度と……死神になぞ遅れはとらん!!」
そう言って一護の名前を呼ぶグランドフィッシャーに、辺りの半仮面の人物達はけらけらとわらった。