第327章 611.霊王死す
兵主部一兵衛が転がるのを見て 一護は絶句した。
「……これは………」
夜一が眼を細める。
「零番隊なのか?」
茶渡の問いかけに 一護は和尚だと言うと 苦虫を噛み潰したような顔をした。
「零番隊で 俺やルキア達を鍛錬してくれた………」
「あたし……治してみる…….!」
織姫が六花に手をかける。
それに岩鷲は無理だろと止めた。
(一護………)
「!?和尚!?」
突如脳内に声が響き 一護は辺りを見回す。
(一護……名を……)
「どうした!?」
「わかんねえ……和尚の声が聞こえてる…………」
(わしの名を呼んでくれ……一護………)
「名前を………」
すると一護は 息を短く吸い 一息に呟いた。
「兵主部一兵衛」
とたんに 転がる一兵衛の目がひらき 肉体が修復されていく。
「ふうっ!いやあありがとうよ!」
それに一護たちは絶句する。
「な…….どっ……どうなってんだ!?死んでたんじゃなかったのかよ!?」
「ん?死んどったぞ。
名には全ての力がこもっとる。おんしに名を呼んでもらうことで おんしの力をちいっとばかし貰い受けて体を直したんじゃ!」
「……ムチャクチャだな……」
「そうか?わしとおんしの力を持ってすれば 当然じゃぞ!」
わははと豪快に笑う一兵衛に 一護がドン引きする。
しかし すぐに一兵衛は顔を引き締めると 静かに告げた。
「ユーハバッハと芭蕉臨を止めてくれ」
「!」
「零番隊は奴等に敗れた。わしの体は取り戻したが 力の回復を待っておっては間に合わん。
それに わしは斬魄刀をやつに殺された」
「!!」
「奴を止められる者は もう他におらん。
殺せとは言わん、ただ止めてくれ。
霊王は 世界の鍵じゃ。
霊王が死ねば 瀞霊廷も 現世も 虚圏も 何もかもが崩れて消える。
こんな使命を おんしに任せてすまん。
霊王を護ってくれ 一護ーーー……!」