第321章 605.DON't CALL MY NAME
「よっ とっ ほっ」
雨が降る
京楽は瓦礫の上をとんとんと渡っていると 呆れたように声を上げた。
「いやいや……どこもかしこも壊してくれちゃってまあ………って、今のこらはあちらさんの建物だっけ?これ、先々敵さん達を追い返したらちゃんと瀞霊廷の建物に戻ってくれるのかねぇ………
戻ってくれたとして、戻った建物は壊れちゃってるのか元のままなのか……
元のままだといいんだけど……ねえ」
その視線が 男へと注がれる。
「浮竹」
するとその男 浮竹は ゆったりとした足取りで 憔悴した顔でそっと口を開いた。
「……そうかな。壊れていたならまた直せばいいじゃないか」
「……そう言うと思ったよ」
空を 見上げる。
「臨は 霊王を殺すかな」
「……」
浮竹の言葉に 京楽は答えない。
「君が死んだら 臨ちゃん悲しむよ」
「どうだろう。そうだと嬉しいんだけどな」
京楽が 浮竹の影を見る。
「………神掛けは 成功したみたいだね」
異様に伸びる黒い影。
それに京楽は 目元が見えないよう傘を深く被ると 口を開いた。
「それなら 多少の無理もききそうだ」
「医者のような口をきく」
「そんじゃ気をつけてねぇ、またあとでー」
浮竹に背を向ける京楽。
「待て お前はどこへ行く京楽」
「……ボクはちょっと
四十六室までね」