第317章 600.SNIPE
千手丸の体が 床へと倒れる。
「馬鹿者!!そんな所で殺す奴があるか!!」
そして仮面の男の声が響くと 刺青の男 リジェ・バロが肩を竦め 得体の知れぬ者に視線を向けた。
「助けてよ ペルニダ」
ペルニダと呼ばれたそれは 千手丸へ糸のようなものを伸ばすと 先程畳んだ盾のように 小さく折りたたんで道から外へ落とした。
「しかし、あっけないものだな。こんなものが零番隊か」
仮面の男が呟く。
「今までいたかい?僕らの前で あっけなくなかった奴なんて」
リジェがライフルを構える。
目の前に浮く 五つの盆
それに一つずつ弾を撃ち込むと 盆は音を立てて割れ それを下へとおとした。
「ーーーこれで 邪魔なものは全て落ちた」
リジェがユーハバッハに跪く。
「お通り下さい 陛下」
その途端 空が揺れ はためいた。
「!?何だ……これは!?」
リジェが驚愕する。
「どういうことだ!?ここは一体どこなんだ!!!」
はためく空の足元から その人物は呟いた。
「ここは そちたちを迎え入れる為の偽りの霊王宮。
本物の霊王宮は 向こうで和尚が隠しておる」
そこにいたその人物は 先程殺した筈の千手丸だった。