第304章 537.
カツン と 静かな音が響く。
それにユーハバッハは、伏せていた目をゆっくりとひらくと 目の前にいる彼女へと視線をむけた。
「ーーーーよく似合っている」
デコルテがレースに飾られた 白いオフショルダーの軍服
純白のロングスカートからは その艶めかしい白い外腿が覗く。
長い白き手袋。
ヒールのついた 白いブーツ
手首には 銀の星。
それが音を立てて揺れると 彼女は跪きその胸に手を当てた。
その堂々たる姿に ユーグラムは息を飲むと ユーハバッハは臨に畏まらずとも良いと告げた。
「側に寄れ」
臨が ゆっくりとその体を動かす。
その頬にユーハバッハの大きな手のひらが触れると そのまま唇をそっと撫でた。
「……人を払え ユーグラム」
「かしこまりました」
臨の細い腰に 太い腕がまわされる。
「今の名を もう一度聞こう」
「………芭蕉臨 と、申します。陛下」
「臨………か。私が怖いか 芭蕉臨」
「………いえ」
しかし 臨の体が 小刻みに震える。
それにユーハバッハは何も言わずに彼女を自身の腹の上に乗せた。