第294章 507.THE FIRE 3
ユーハバッハが 元柳斎の斬撃を躱す。
切れた黒いマントに視線を向けると 燃え上がることのないそれに目を細めた。
(どうなっている?本当に千年前と卍解自体が変化しているのか?
だが始解と卍解に 能力の繋がりの無い斬魄刀は無い。奴の卍解の力は炎 それに間違いは無い。
ならば その炎はどこへ消えた!?)
元柳斎の斬魄刀の鋒が 地面に触れる。
その直後 その地は真っ直ぐと消滅し ユーハバッハは目を見開いた。
「鋒か!!」
「明答
残火の太刀 東
旭日刃。
我が炎の持つ熱の全てを 刃先の一筋にのみ集中させた。
燃えはせぬ。爆炎も吐かぬ。
ただ 触れるもの全て 跡形もなく消し飛ばすのみ」
元柳斎がユーハバッハの懐に潜り込む。
「お主ら滅却師の防御の神髄 静血装とやらも通用せぬ!!」
それをユーハバッハは躱すと つまらぬと一言呟いた。
「つまりはその剣に触れる事無く お前を斬れば良いだけの事!」
振り上げられる剣
その鋒が 消えた。
「甘いのう」
ユーハバッハの視線が 元柳斎に向けられる。
「人の話はちゃんと聞かんかい。言うたじゃろう 残火の太刀 東 と。
東があれば西もある。
仕方ない お主の眼にも見えるようにしてやろう」
途端に 元柳斎から吹き出る炎のようなものが見える。
「残火の太刀 西
残日獄衣
その熱実に 一千五百万度
お主は儂に触れる事すらできぬ。
卍解した儂はその身と刃に 太陽を纏っておるものと思え」