第275章 473.Enemies in the Dark
二つの月牙が 空にかさなる。
それに一護は斬月を構えると 一気に銀城へと距離をつめた。
しかし 己が攻撃するよりも先に 銀城の斬魄刀が振り下ろされる。
それを間一髪で躱すと 一護も負けじと斬魄刀を振り上げ 相手の首筋に小さな赤を咲かせた。
互いに距離を再びとり 再度駆ける。
重なる刃
「……良いじゃねえか 随分と捨て身だな」
「捨て身のつもりは無えよ」
その言葉に 銀城はそりゃそうかと呟いた。
「全力で戦ってるだけだよな。じゃあ お前今何のために戦ってる?」
「?……どういうーーー……」
「月島なら死んだぜ」
その言葉に 一護は動揺した。
刀が弾かれ お互いに距離をとる。
「…いや、正確にはまだ死んじゃいねえが 霊圧は殆ど消えかけてる。もってあと10分てとこだろう。そして 完現術者が死ねば その能力の痕跡は全て消える」
「!!!」
「意味が解るか?このまま月島が死ねば 月島が挟み込んだ過去は全て元に戻るんだ。お前の家族も仲間も みんなキレイに元通りになるんだよ。………もう一度訊くぜ
お前今 何のために戦ってる?」
一護は 答えない。
「……返事が無えな。じゃあもう一つ話してやろう。
お前が 本当に戦うべき敵の話だ」