第275章 473.Enemies in the Dark
「……………冷たいな」
月島が声をかける。
「……僕は……君の恩人だろう………?朽木緋真を失って失意の中にいた君を救ったのは……」
「…………兄は確かに私の恩人だ。感謝はしている…………だが臨はルキアの無二の姉で 私の絶対的な師だ。それに刃をむけるのであれば 殺すに瑣少の躊躇いも無い」
空間が解け 臨がルキアを抱えて全員の場所へと集まると、その姿に恋次は慌てた。
「ルキア!」
臨が恋次にルキアを渡し任せると一言告げると 日番谷はその右腕に目を細めた。
「その傷は」
「気にしないでください日番谷隊長。それよりも……」
臨が空の黒い物体を仰ぐ。
「一護はあそこですか」
「恐らく」
すると 臨は日番谷の背後にいた少年へとゆっくりと視線を向け その斬魄刀を抜いて鋒を向けた。
「解け」
絶対零度の声が響き その場にいた何人かの背筋が伸びた。
少年も例に漏れず 凍らさせられて寒いはずなのに、汗が頬を伝う。
「む………り」
「私は悠長に拷問しながら待っていられる程気が長く無いのでね。ならば君を殺して無理にでも解かせて貰いましょう」
「ま、待ってって!本当に無理なんだって!僕らは空吾と仲間になった時、その証としてお互いの力を少しずつ受け渡し、そしてそこに小さな誓約を交わしてる。僕の空吾との誓約は 僕の能力の範囲内に空吾が居る時に限って 空吾の命令が無い限り能力を解除できないーーー」