第19章 19.6/17 op.3
「もーー!!いい加減泣くのやめなよ!」
青空の下、夏梨のそんな声が響く。
「アンタ、いいかげんこの日になると毎年泣くのやめなよね!あたしらもう今年で11だよ?いいオトナじゃん!」
「うん……わかってる…………わかってるんだけどね…………」
うええと遊子の泣き声が周辺に響き渡ると、夏梨はわかってないじゃんと呟いた。
「ったく……もう!ほら遊子!ヒゲが集合の笛吹いてるよ!行かなきゃ!」
そう言って遊子の腕を引っ張ろうする夏梨。しかしその手は途中で止まった。
「……あの子、あんなトコで何してんだろ?」
「え?どれ?」
その言葉に夏梨がピンとする。
「ちょい待ってて。」
そう言って崖の方へと近づく彼女。
崖の先にいる人物へと声をかけると、彼女は自身の後方を指差した。
「なんか思い残したことがあんならさ、坂の下の住職さん住んでるからそこ行きな。」
するとその人物は驚いたように口を開く。
「あなた、わたしが見えるのね?」
「そ、あたし見える人。あんまし人に言うなよ、恥ずかしいから。」
「……声も聞こえるのね…………」
「おかげさまで」
そういうと、その人物はにたりと笑った。
「ステキね、とても」
『とても ウマそうだ………!!』