第266章 ---.2
一番隊隊舎・隊首会議場
元柳斎を最奥に、各隊の隊長・副隊長が居並ぶ中、浦原は運びこんだかたなについて、詳細に説明をした。
すべてを聞き終えた元柳斎は、「事情は相分かった」と一つ頷き、一同を見やる。
「先刻、涅 浮竹 両隊長により、初代死神代行が黒崎一護に接触したとの報告を受けた」
「初代死神代行…銀城空吾か!」
日番谷がその名を口にすると、場の空気が 一気に張り詰めた。
「黒崎一護が、ようやくエサとしての役割を果たしたということだネ」
マユリの視線は 浮竹に向けられている。
浮竹は黙したまま、悲しげな目をして深くうつむいた。
「銀城空吾が接触してきた以上、最早一刻も無駄には出来まい………その刀を持って寄れ!浦原喜助!」
元柳斎の言葉に 卯ノ花が目を見開く。
「総隊長、それでは……!」
「…形はどうあれ、我等は黒崎一護に救われた。今度はその黒崎一護を、我等が救う番じゃ。縦え仕来りに背こうと、ここで恩義を踏み躙れば、護廷十三隊永代の恥となろう」
元柳斎はそこで言葉を切り、一歩足を踏み出した。
一人一人の顔を見回し、高らかに言う。
「総隊長命令である!護廷十三隊全隊長・副隊長は、全てこの刀に霊圧を込めよ!」
威厳に満ちた元柳斎の声が、しんと静まった議場に響き渡った。
「……儂の命を待たずして、既に数多くの死神が霊圧を込めたとの報告を受けておるが……此度に限り、罪には問うまい」
その裁定に、今まで身を固くしていた数名が、ホッと息を吐く。マユリは浦原を睨みつけ、その場の誰もが聞き取れるような大きさで、ギリギリと歯ぎしりをした。
「よいか、浦原喜助!必ずや、黒崎一護に死神の力を取り戻させよ!」
浦原は顔を上げ、真っ直ぐに元柳斎を見つめた。
静かに自分を見返しているその瞳には、浦原に対する確かな信頼があった。
「はい、必ず……!」
こみあげてくる感情を抑えるように、浦原は深くこうべを垂れた。